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2014.05.23
- 不思議なお話し - (十勝シリーズ:第10話)

前回世にも不思議な話しというタイトルで蛇の皮でイボが取れたことを書いたが、
実は他にも幾つか不思議な出来事を経験している。ただこれから書く話はマジックやトリックといったものとは無縁できっと科学的に証明されることだと思うのだが・・・私にとっては不思議な出来事であった。



◆まさか !
私が通っていた小学校で起こったことである。当時
4年生でクラスは12名であった。
給食が終わり仲間同士、教室で騒いでいた時の事だった。一人の男子が女の子をからかって遊んでいた。その時突然女の子が男子生徒を追いかけ始めた。何時も見る光景だったのだが、いつもよりは少し追いかけるスピードが速かったかもしれない。教室中を追いかけまわしていたが、やがて窓から二列目の私の机の横を通り過ぎようとした時だった。「パリーン」と乾いた音がした。その瞬間机の板が空中を飛んだ。間もなくしてフロアーに落ちた板を見ると板は角のところから
15センチほどのところで綺麗に割れていた。厚さ1.5センチはあろうという板机である。大人が上がってもびくともしない代物である。それは合板では無く一枚物の板であったが、いかにも固そうな材質であった。

この固い板机が小柄な小学校4年の女の子の膝に当たり綺麗に割れたのである。私には信じられなかった。普通であれば膝の皿が割れるのが道理であろう。しかし女の子の膝は無傷でむしろ自分の足の事より机を壊したことを気にしていた。

私はあっけにとられた。起こったことが理解できなかったからである。普通は駈けていて机の板に膝がぶつかったら激しい衝撃音を発して机が飛んでいくか、膝に大怪我をするかだろうと想像できる。しかし現実は机板が見事に割れてぶつけた本人は無傷なのである。


F()=m(質量)×a(加速度)

これに似たような現象がカマイタチなのかもしれないが大気に真空の隙間が出来て物を切り裂くと言われてもピンとこない。言う人にいわせればこれこそ「気」だという人もいる。割り箸で物を切ることや名刺を使って割り箸を切るようなことは「気」を上手に使えば誰でも可能になるという。しかしどうもこの手の説明には頭が付いて行かない。むしろ不得意な物理の公式なるものを信じてしまう。
F()=m(質量)×a(加速度)と言われると質量が小さくても加速度が増せば大きな力が発揮されるんだなぁとイメージは湧いてくる。

車の衝突実験で同じ車重の車でもスピードが速いほど車体のダメージは大きくなると説明されると納得できる。物理の公式にもぴったりと当てはまる。だから女の子が固い板机を割ったのは膝に掛る重さとスピード、当たる角度、一枚板の筋目、これらがぴったりと一致して綺麗に割れたのであろう。このどれ一つでも欠けていれば女の子は手痛い思いをしたに違いない。しかしこの一致はもはや神の領域としか言いようがない。丹念に準備してさぁやろうと思っても中々出来るものでは無い。ピンポイントのストライクゾーンが極めて小さい。だから「気」なんだというかもしれないが、すぐに結果を求め飽きっぽい性格の自分には長い鍛練と修行は辛い。

・・・やたらつまらぬ言い訳をしたが人生は本当に不思議なことに出会う。



                  JP共済生協 常務理事  佐々木 貢





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